月の夜に降る雪

――詞華集 日々の営みの中で さまざまにうつろう 心模様です――
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失うものはないってことを

朝、目覚めているのに起きられない。

自分がしたかもしれない指し手の誤り、
そのせいで悪くなったかもしれない立場、
見誤っていた人間関係の状況、

ああ、わたしはミスったな、と考えてしまう。

人生も折り返し地点をとうに過ぎたのだから、
今この時点で花形列車のレールに乗っていないなら、
これから先も鈍行のレールしか乗らないだろう。

だから毎朝、呪文を唱えよう。

小さい立場を守るためにあがいた後は特に。

失うものはない。
失うほどのものは何も持ってない。
これで失敗しても、失うものはちっぽけな職位。

この年になって何者でもなく、
何者かになりそうな子供も持たないわたしには、
そのちっぼけな立場は重要だけど、

わたしの頭より高いところから眺めよう。

そうしたら、失うものは何もない。
だって何も持っていないのだから。

さあ、考えずに、
気に入った服を着て、
自己満足して出かけよう。


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