月の夜に降る雪

――詞華集 日々の営みの中で さまざまにうつろう 心模様です――
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そのとき

同じ頃に同じように家族に病を得た友人は、
痛みや苦しみにあえぐ姉をわたしより早く見送った。

そのときが来てしまったら、なんて言えばいいんだろう。

今は言える。
いろいろなことが言える。

でもそのときが来てしまったら、終わりに向き合う不安に対して、
わたしはなんて言ってあげられるだろう。

そう考えたこともあった。

言えることはないと思った。
そんな恐怖に言える言葉はないと思った。

思いついたのは「今日じゃないよ」という言葉だけ。
「でもそれは今日じゃないよ」「今日じゃないよ」
明日かもしれないけど、でも今日じゃない。

役に立たない言葉しか浮かんでこなかった。

・・・・・・

そのときが来たらあまりに早かった。

数日で逝った。

何も言う暇もなかった。
どれだけ不安だったかも、聞くことがなかった。

それはよかったのか、そうではないのか、
分からない。

逝ってしまったことに変わりはないから、
わたしにとってはどちらでも変わりはない。

そして当人の気持ちはもう分からない。


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