月の夜に降る雪

――詞華集 日々の営みの中で さまざまにうつろう 心模様です――
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独白

わたしの中には自分がきちんとできていないのかもしれない。

いや、さすがに自分というものは存在しているのじゃないだろうか。

ただその「自分」が、ぽかっと空いた空間の中に存在しているのが、空虚なのだ。

わたしはわたしの中の、ぽかっと空いた空間を満たしたい。
海の底のような、羊水の中のような、心地いい流動体で満たしたい。

その中に自分がいるのなら、わたしは寂しくないだろう。

わたしは頼りない手さぐりの空間で、よろめいたりしながら手を伸ばすこともない。
緩やかな流動体に包まれて、安心して揺れたり漂ったりすればいい。

でも友達では、この空虚を満たしてくれない。
わたしをすっぽり包み込んでくれはしない。
どうやらそうらしいということが、久しぶりに友達を得てみてまた分かる。

そうだ、ずっとそうだったんだ。

結局、ここを満たしてくれるのは、家族しかいないこと。
前に悟ったけど、家族と呼べる存在が夫一人だけになってしまったから、
他に満たしてくれる人は誰もいなくなってしまったから、
もっと欲しくなったのだ。

そうして友達を得てみたけれど、この人が友達である限り、あくまでお互い空虚の中に立つ存在同士なのだ。
愛でなくては、空虚を満たす流動体にはなれないのだ。

そしてこの人は、わたしを愛するようにはならない人なのだ。
どんな形の愛であれ。

男の人なら、夫と同じ愛では愛してくれない。
女の人なら、妹と同じ愛では愛してくれない。

わたしにとっての家族であったこの二つの愛は、友達では満たしてもらえないものだった。

友達を得てみて、また空虚を悟る。

もしひとつしかない残された愛がなくなったら、わたしはどうしたらいいのだろう。

と、友達を得てみてまた不安になる。


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