月の夜に降る雪

――詞華集 日々の営みの中で さまざまにうつろう 心模様です――
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荒れた手のように

わたしは働かない。
水を使った家事をほとんどしない。

同じくらいの年かなと思うその人は、
2人の子供と義理の両親と夫のため、
ずっと家事をし続けている。
子供が成人して仕事をしている今でさえ。

だからその人の手は荒れて、年を感じさせる。
それはその人の人生の勲章だけど、
肩や胸につける勲章ではなく、
受けた傷、失った体の一部が勲章だというのと、同じ意味。

――肩や胸につける勲章は、立派に生きてる2人のお子さんとか、
いずれ子供たちに遺される立派な一戸建てとか、だからね。


わたしの手は荒れない。
でも荒れるものもあって、それは心。

何十年も仕事をし続けていれば、
手の皮膚が厚くなるのと同じように、心も厚くなる。
手が堅くなるように、心も堅くなる。
手が荒れるように、心もすりきれる。

ほかに賭けるべきものがなくなれば、
得るものもなく荒れる一方。
育っていく子供や、成功していく自分、
そんな誇れる何か、積み上げてきた何かがなければ。

心は荒れていく。年を取った主婦の手が荒れるように。
ガサガサになっていく。繊細でなくなっていく。

年を取った主婦の手が荒れるように。



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