月の夜に降る雪

――詞華集 日々の営みの中で さまざまにうつろう 心模様です――
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今朝の下り電車

通勤時間帯だけど、下りだから立っている人はほとんどいない。

朝の下りだけど、通勤時間帯だから席はほとんど空いていない。

でも完全に埋まっているわけではないのだ、
入り込む隙もないほどぎっしりでは。

狙っていた、まぶしい光の射さない側、
入れなかった。

みんなが狙っていたけど、誰も入れなかった。

蜘蛛のように膝を広げて、長い足を体より倍も横に出している若者。
彼の脇の空間にお尻を入れるのは、乗り込んだ客は皆、躊躇した。
彼は浅黒い肌をした、異国の若者か異質な若者のどちらかだったから。

足を投げ出すように広げて、目を閉じている男性。
むりやりお尻を入れてこの人を起こすのは、皆、やめておいた。
そこまで混んではいなかったから。そんな面倒なことをするほどでもなかったから。

最後にもう一人、足を広げて座っている若者。
彼には言えた。「すみません」と言ったり、お辞儀をしたりして、隣にお尻を押し込めた。
でも誰もやらなかった。

この人だけが少しくらいよけてくれても、他の二人が動かなければ、やっぱりかなり窮屈だから。

そうして朝の下り電車は走って行った。



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