月の夜に降る雪

――詞華集 日々の営みの中で さまざまにうつろう 心模様です――
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何一つ変らなかった。あの日のままのすべてを僕は見出した

ヴェルレーヌが書いた。
夏を歌った詩の中で。

このフレーズが、わたしを捕えて放さない。


誰もが何かを抱えてる

誰もが何かを抱えてる。

それがわかると、許せるように思える。
そうか、この人がこうなのは、そういう事情だったのか。

でも誰もが何かを抱えてる。

わかってもやっぱり、許せなくなる。
なるほどたしかに事情はあるかもしれないけど、

でも誰もが何かを抱えてる。
あなただけじゃないのよ、って。


幸せな老後のために

幸せな老後のために必要なものは、きっとあれこれある。

でもまず第一に必要なのは、お金だと思う。

このことには、きっと多くの人が賛成だろうと思う。


荒れた手のように

わたしは働かない。
水を使った家事をほとんどしない。

同じくらいの年かなと思うその人は、
2人の子供と義理の両親と夫のため、
ずっと家事をし続けている。
子供が成人して仕事をしている今でさえ。

だからその人の手は荒れて、年を感じさせる。
それはその人の人生の勲章だけど、
肩や胸につける勲章ではなく、
受けた傷、失った体の一部が勲章だというのと、同じ意味。

――肩や胸につける勲章は、立派に生きてる2人のお子さんとか、
いずれ子供たちに遺される立派な一戸建てとか、だからね。


わたしの手は荒れない。
でも荒れるものもあって、それは心。

何十年も仕事をし続けていれば、
手の皮膚が厚くなるのと同じように、心も厚くなる。
手が堅くなるように、心も堅くなる。
手が荒れるように、心もすりきれる。

ほかに賭けるべきものがなくなれば、
得るものもなく荒れる一方。
育っていく子供や、成功していく自分、
そんな誇れる何か、積み上げてきた何かがなければ。

心は荒れていく。年を取った主婦の手が荒れるように。
ガサガサになっていく。繊細でなくなっていく。

年を取った主婦の手が荒れるように。



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