月の夜に降る雪

――詞華集 日々の営みの中で さまざまにうつろう 心模様です――
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人生はごちゃごちゃ

うまくいってると思えることもある。
うまくいってると思えることの中にも、
「でももしかして」や「あれはまずかったな」がある。

心配なまま、不安を抱えてることもある。
心配で不安で考えると暗くなっても、
「まだ絶望ではない」や「なんとかこのまま」がある。

逆境に陥って、ずっと逆境を耐え抜くのでもなく、
悲劇が続いて、立ち直れずに慟哭するのでもなく、

すべてが良い連鎖、順風に援けられて進むでもなく、
素晴らしく嬉しいことがあって、絶頂を見るでもなく、

人生はごちゃごちゃ。

いいことも悪いことも混ざり合って、
いいことの中にも悪いことがあって、
悪いことの中にもましなことがある。

――つまり、具体的に物語れば、

仕事はうまくいきはじめているけど、
子供のことは心配ごとがある、

うまくいきはじめた仕事も、ときに失敗や後退があり、
心配な子供のことも、まだ希望はあり、ときに前進する。

介護している義父母は、ストレスであり、イライラ。
仲の良い異性の同僚は、自己満足でもあり、いい気分。

慰めである実母が病気を抱えて、不安。
でもまだ絶望ではない。
ということは、ずっと不安ということでもある。

――つまり、そんなふうに、
四十も後半に入れば、人生はごちゃごちゃ。

同時にいくつもが重なって、ごちゃごちゃの毎日。

・・・・・・ごちゃごちゃだってこと。


今朝の下り電車

通勤時間帯だけど、下りだから立っている人はほとんどいない。

朝の下りだけど、通勤時間帯だから席はほとんど空いていない。

でも完全に埋まっているわけではないのだ、
入り込む隙もないほどぎっしりでは。

狙っていた、まぶしい光の射さない側、
入れなかった。

みんなが狙っていたけど、誰も入れなかった。

蜘蛛のように膝を広げて、長い足を体より倍も横に出している若者。
彼の脇の空間にお尻を入れるのは、乗り込んだ客は皆、躊躇した。
彼は浅黒い肌をした、異国の若者か異質な若者のどちらかだったから。

足を投げ出すように広げて、目を閉じている男性。
むりやりお尻を入れてこの人を起こすのは、皆、やめておいた。
そこまで混んではいなかったから。そんな面倒なことをするほどでもなかったから。

最後にもう一人、足を広げて座っている若者。
彼には言えた。「すみません」と言ったり、お辞儀をしたりして、隣にお尻を押し込めた。
でも誰もやらなかった。

この人だけが少しくらいよけてくれても、他の二人が動かなければ、やっぱりかなり窮屈だから。

そうして朝の下り電車は走って行った。



今日も五月晴れ

開始から2ヶ月、すべてにおいて失望した。

いや、さすがにそれは誇張だ。

しかしいろいろなことについて、失望した。

分かっていたはずなのに、
覚悟していたはずなのに、

期待を捨てきれていなかったんだなあ。

そんな自分にもちょっと失望して、春が終わる。

今日も五月晴れ。


子供がいるってこと

「あの人は40代くらいだけど、新婚みたいね」
「そのようですね」
「ご主人とは同じような仕事をしているんですって。
きっとおうちに帰って、方法論とかを話し合ったりしてるのよ」
「ああ、そうかもしれませんね」

「でもあたしは心の中でいつも、新婚さんの話を聞くとき思ってるの。
今だけだよ、って。そのうち話も通じなくなって、話さなくなっていくよ、って」

――そうかな。
年をとっても仲の良いご夫婦もいるけれど。

あ、そうか。

この人にはお子さんがいるんだ。成人したお子さんがいるんだ。

子供のいない夫婦は、相手を頼りにするしかない。
だから仲がいい。
仲良くしていく我慢をするから。他に心の支えとなるものがないから。

あ、そうか。

この人にはお子さんがいるんだ。
そういうことか――


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