月の夜に降る雪

――詞華集 日々の営みの中で さまざまにうつろう 心模様です――
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蛍より

     *

私の旅が終る前に
 願わくば私自身の内側で
  かの全なるものに到達できんことを。
自我の外殻を脱ぎ捨てて
 それが偶然と変化のまにまに
  群衆とともに漂い流れ去るままに。


     タゴール 著
     大岡 信 訳

蛍より

     *

力の下手な発現は、鍵をだめにし、
 つるはしをふりまわす。


     タゴール 著
     大岡 信 訳

蛍より

     *

世界はそれに好意を寄せる人の
 無私の暴虐に最も傷つく。


     タゴール 著
     大岡 信 訳

蛍より

     *

光は闇を配偶者として受けいれる、
 創造のために。


     タゴール 著
     大岡 信 訳

蛍より

     *

善きことをなす者は寺院の門まで来る、
 愛する者は神殿に至る。


     タゴール 著
     大岡 信 訳

蛍より

     *

星たちは処女なる夜をむらがりかこむ、
 決して触れ得ぬ彼女の孤独を
  静かに畏れかしこんで。


     タゴール 著
     大岡 信 訳

蛍より

     *

自我の重荷は軽くなる、
 おのれ自身を笑いとばせば。


     タゴール 著
     大岡 信 訳

蛍より

     *

不死なるものは宝石同様
 おのが歳月の久しさを誇ったりはしない、
  おのれの瞬間のきらめく一点を誇るのみ。


     タゴール 著
     大岡 信 訳

蛍より

     *

大地は木に奉仕する代償に
 しっかと自分に木を縛りつける、
  空は木に何も求めず、なすがままにさせておく。


     タゴール 著
     大岡 信 訳

蛍より

     *

記憶、それは尼僧、
 現在を切り殺し、
  死んだ過去の社(やしろ)に心を捧げる。


     タゴール 著
     大岡 信 訳

蛍より

     *

春は花の花弁をまき散らす、
 未来の果実のためでなく、
  ただひとときの気散じのために。


     タゴール 著
     大岡 信 訳

蛍より

     *

眠りに入ろうとする心の暗い洞窟で、
 夢たちはねぐらを作る
  昼の旅路からこぼれ落ちたかけらで。


     タゴール 著
     大岡 信 訳

蛍より

     *

長い間意味を見失っていた私の心の苦痛のように、
太陽の光線は闇の衣装を身にまとい、
大地の下に隠れる。
 とつぜん愛に触れられた私の心の苦痛のように、
 光線は春の呼び声でヴェールをぬぎ換え
 色のカーニバルとなって立ち現われる、
 花の中にも葉の中にも。


     タゴール 著
     大岡 信 訳

蛍より

     *

あやまちは真理の隣に住んでいる、
 それゆえにわれらを惑わす。


     タゴール 著
     大岡 信 訳

蛍より

     *

美は「もう充分」と言うすべを知っている、
 野蛮は、もっともっと、とわめきたてる。


     タゴール 著
     大岡 信 訳

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