月の夜に降る雪

――詞華集 日々の営みの中で さまざまにうつろう 心模様です――
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夏の日の静けさ

静けさが、ひとしずくすべての上に
水のようにひろがるこの夏の日に、
松の眠りのなかに叫びつづける蝉のように



フランシス・ジャムが祈りを捧げる、夏を描いた詩の中で。

フランシス・ジャムの生きた国と、わたしが生きる国では違う。
夏の暑さの度合いも、質も、暮らしも。

それでも同じ静けさがある。

暑さにものみなが息をひそめて物陰に隠れている、そんな静けさ。

蝉の声が響けば響くほど、深まる静けさ。



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何一つ変らなかった。あの日のままのすべてを僕は見出した

ヴェルレーヌが書いた。
夏を歌った詩の中で。

このフレーズが、わたしを捕えて放さない。


春の日

春霞み、ブルーグレーの空、太陽ーー

人生の新しいピリオドが始まった人は、
きっとつかれているだろう。

どの花が道端にもう咲いているかいないか、
気にする余裕もないくらい。

新しいピリオドは若い人にだけ訪れるものでもない。


新年のご挨拶

そういえばいつも、年のはじめには、
年のはじめを意識したものを用意していたと思い出す。

新しい太陽に照らされたまっさらなときも、
ほかのすべてが新しくても、どうしても自分は闇を見ているときも、
どちらのときもあったけれど。

今年は何も感じない。

わたしは今、期間限定のゆるやかな時を過ごしていて、
それはきっともう少し続く。
許された期限までは、ほかの心配事も現実にならずに済むだろう。
――未来は何ひとつ予測できないものだとしても。

だから何も感じない。

わたしは今、時の外に半分出ているから。

クリスマスも、新年も、わたしの脇をすり抜けてゆく。

否応なくわずかな仕事はしなければならないけれど、
完全に時の外に出ることはできないけれど、

古い年も新しい年も、わたしをかすめて通り過ぎる。


年の瀬の朝

すっかり色褪せたイチョウの葉が、
まだ少し枝に残る歩道。

でもそれも少しで、
木はすっかりはだか。
枝を通して空が広い。

道に敷かれていた黄葉も今はなく、
足裏に感じる歩道も硬い。

雪も氷も霜柱もない、
ただ枯れた感だけがある。
もの寂しい東京の冬。


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